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2018年10月

2018年10月25日 (木)

”命の花筏” 奉納のご報告

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2018年10月24日、宮城県石巻にある、日和山に私は立ちました。目の前に広がる海はとても静かでした。7年前の2011年3月11日東北大震災の津波は、この地において言葉にたとえようもないほどの悲しみの爪痕を残しました。
 日本だけでなく世界中に、この悲惨さが伝わり、深い祈りとなったのです。

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 タペストリー“命の花筏 …あなたを忘れない”は、その祈りをこめた作品となりました。
東北の刺繍仲間60人が、18000枚の花びらを1年かけてリレー刺繍し、亡くなられた方々の命を天国へ送り届けようという思いだったのです。

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 そしてそのひと針は、残された私達にとってもかけがえのないこの故郷を、後の世のために復興しよう、との決意のためでもありました。

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 そして完成してから5年。鹿島御児神社に無事奉納することができました。

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 その時々の思いや願いをひと針に…。しだいに大きな輪になって人々の幸せにつながっていければという希望が、こうして実現できたこと。心より感謝しています。

 鹿島御児神社の皆様、仙台藤崎様、そしてリレー刺繍に参加した方々、ありがとうございました。

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2018年10月11日 (木)

英国からの特別講習会

 人生のうちでこんなに感動したことはあるでしょうか…!
10月6日から10日までの五日間、アトリエにおいて日本刺繍の講習会をしました。

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 生徒さんは、イギリスからはるばるいらしたのです。以前から日本刺繍が好きで、経験者ばかりで、ホームページや本で私の作品をよく知っている方達なのです。2011年のエジンバラでの私の展覧会、2013年の英国ボーンマスでの講習会で出会った方もいます。

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 今回は私のデザインと色彩で刺繍作品を作りたい、ということで、いくつかの図案と刺し方等を準備しました。
 準備は大変です。メールのやりとりや刺し方など全て英語ですので、アトリエスタッフも何カ月も前から準備をします。
 せっかくアトリエにいらっしゃるので、なるべく沢山の作品を見ていただきたく、毎日展示作品の模様替えをするのも夜までかかり、アトリエスタッフの協力なしでは、これだけのおもてなしはできません。
 また、通訳も。私の刺繍への表現をわかりやすく伝えていただくために打合せを重ねて当日を迎えました。

 そして、私ができることは、五日間でひとりひとりに刺し方のポイントや美しく仕上がる方法を実際に刺してみせることです。イギリスに帰ったら的確に仕上げられるように…。

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 参加した9名は、毎日朝から夕方まで必死に刺繍をしていました。

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そして五日目です。ほんの少ししか刺繍は仕上がっていませんが、皆は満足。

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それは、テクニックだけでなく、多くのことを学べ確認しあえたからです。
想像することの大切さ。マイペースで自己完結を目指すこと。時には自分に優しく、時には少しチャレンジもすること。
など、お互いに共通認識を持てたことで大感激で、最後は涙、涙で抱き合いました。

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 国が違っても「美しいもの」はお互いに通じ合う原点だと思いました。

 私たちは2年後に再会できることを楽しみに、そして彼女たちは途中の刺繍作品を持ってアトリエを後にしました。

 私にとって、この度の経験と感動は、刺繍を続けてきてよかったこと、そして、これからの刺繍人生へ大きな刺激になったと思いました。

Thank you! See you again!! 

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